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2015.04.02188体育平台
梶山理事長?学長 入学式式辞
平成二十七年度福岡女子大学第六十六回入学式及び大学院第二十三回入学式 式辞


 この荘厳な入学式の静寂な中にも、皆さんの若い力が自然と生み出すエネルギーを、私はひしひしと感じています。「次代の女性リーダーの育成」を建学の精神とする福岡女子大学の一員になられた学部学生二百五十五名、大学院学生十九名の皆さんを、心より歓迎致します。入学おめでとう。また、ご多用にもかかわらず入学式にご臨席賜りました福岡県副知事海老井 悦子(えびい えつこ)様を始め、ご来賓の方々に福岡女子大学を代表し、厚く御礼申し上げます。また、式前の記念演奏をしていただいた九州大学フィルハーモニーオーケストラの皆さんに感謝致します。本年度の入学式には、福岡県立女子専門学校卒業の方々と福岡女子大学の同窓生第三回、十二回、二十二回、三十二回卒業の方々を御招待しております。

 新入生の皆さんが、本日、晴れの入学式に出席しておられるのは、入学試験という過酷な競争を突破された皆さん自身の努力によるのは間違いありませんが、今日まで物心両面から皆さんを暖かく支えていただいたご家族のご恩を忘れてはなりません。また、小学校から今日まで、勉学という面からだけでなく、心の成長も支えていただいた多くの先生、楽しいにつけ悲しいにつけ相談相手となってくれた友人達にも、感謝を忘れてはなりません。皆さんは若いが故に何事も自分でできると思うのは良いことですが、皆さんの現在の成長した姿は、周りの多くの方々の教育面、精神面あるいは経済面からの、計り知れない多くの支援によるものです。

 ここで、皆さんが入学された福岡女子大学の歴史を説明しましょう。福岡女子大学は、一九二三年(大正十二年)に福岡県立女子専門学校として設立されました。今年で開学九二年となる日本で最初の公立女子専門学校です。その後、一九五〇年(昭和二十五年)に県立福岡女子大学となり、学部?大学院組織を充実させながら、二〇〇六年(平成十八年)に「県立福岡女子大学」から法人組織である「公立大学法人福岡女子大学」と変遷してきました。二〇一一年(平成二十三年)4月より従来の教育組織を一新し、国際文理学部を創設しました。それにより、従来あった文学部と人間環境学部の二つの旧学部を二〇一三年度で発展?解消しました。福岡女子大学の卒業生は開学以来の九二年間で、一万人を越え、各方面で社会的に活躍しておられます。皆さんは、公立女子大学では最も古いという伝統ある福岡女子大学の一員となられたことに誇りを持ち、勉学?研究、地域?社会貢献、国際活動に励んで下さい。また、今年四月(平成二十七年度)より学部からより高度の高等教育を目指して新しい大学院修士課程の「人文社会科学研究科」と「人間環境科学研究科」が新たにスタートしました。この大学院修士課程では、文理統合教育による国際的多様性の理解のための異文化許容教育とコミュニケーション力向上の教育を徹底的に行います。将来皆さんの多くがさらに高い高等教育を受けるために、大学院へ進学されることを期待しています。

 次に、福岡女子大学の教育の現状について説明しましょう。
 先程述べました様に、福岡女子大学は二〇一一年度(平成二十三年度)より従来の教育制度と組織を一新し、国際文理学部に国際教養学科、環境科学科、食?健康学科からなる1学部3学科の新教育体制になりました。皆さんはその第5期入学生です。今年三月(平成二十六年度)で国際文理学部は学部として完成し、第一期卒業生を送り出しました。国際文理学部の教育の理念や育成すべき学生像については、皆さんは様々な情報手段を通じて、さらに、これから行われるオリエンテーションによって理解されると思います。これから始まる、授業、授業時間外教育指導、体験?フィールドワーク授業、サークル活動、地域?社会貢献、国際活動に関する教育指導を通じて、福岡女子大学の「建学の精神」、「教育理念」、「大学のミッション」を、新入生の皆さんに徹底して理解いただくよう、福岡女子大学の教職員は指導をしていきます。建学の精神は「次代の女性リーダーを育成」であり、教育の理念は「国際的感性を持ち、世界で主体的に活躍できる人材育成」と「地域?社会の科学?技術、芸術?文化及び日常生活向上に貢献できる人材育成」です。「建学の精神」、「教育理念と大学のミッション」に関しては、新入生の皆さんは、オリエンテーションを通してしっかり学び、学部4年間でこれらの目標に到達できるよう自ら研鑽、努力して下さい。

 「皆さん、何をするために福岡女子大学に入学したのですか?」この質問に対して、大学生活第一日目の今日、新入生の皆さんは、真剣に考えて下さい。大学は、自分自身の考えを個性として表現することを学ぶ所です。教室で授業を受け、基礎知識を身に付けることだけが皆さんに求められる勉強ではありません。「学生である前に良き市民であれ」、「社会性、国際性を身に付けよ」、「経験を多く積み、独創性?創造性を養うために身の周りの変化に興味を持て」、「人間としての尊厳を守るための倫理観を身に付けよ」、「留学生と仲間になり、異文化と国際的多様性を理解し、国際感覚を磨け」の五つの行動指針は、私がいつも学生に言っていることで、これらは福岡女子大学の卒業生として身に付けるべき最低限の行動規範です。

 福岡女子大学の教育には他大学と比較して、3つの顕著な特色があります。一つ目の特色は、「国際学友寮なでしこ」での全寮制生活です。寮はただ住む場所ではなく、教育寮として国際的感性を育てながら集団教育を受ける場所でもあります。そのために、月曜日はアルバイト禁止日になっており、月曜の夕方は、様々な講演会や社会実習教育のために有効に使われています。さらに寮内では日本語を使うことのできない時間、English Timeや日、English Dayが決められており、学生が遵守すべきことです。二つ目の特色が、徹底した英語教育です。入学後すぐ始まり、四学期間で取得する15単位のAcademic English Programは英語を学ぶのではなく、学術の基礎を「英語で学ぶ」のです。最終的には二千字の英語小論文の作成と15分間の英語でのプレゼンテーションの習得が単位取得の最低条件とし義務付けられています。福岡女子大学の教育には、皆さんが身に付けるべき多くの工夫がしてあります。アカデミックイングリッシュプログラム、ファーストイヤーゼミ、国際学友寮なでしこでのイングリッシュタイム、イングリッシュデー、さらに一年次に半数以上の学生が短期間外国で経験する英会話学習とそれを補完するイングリッシュビレッジ体験など、英語中心の授業がめじろ押しです。三つ目の特色が、大学の先生と学生が一体となって、学生自身が授業を通して成長を可視化できるシステム、即ち、カリキュラム?マトリックスとプログレス?ファイルの活用が全学生に義務付けられていることです。この大学教育に対する学生の成長度の可視化システムは、福岡女子大学の先生が議論を重ねて作製?システム化したものです。全学生が自らこのシステムを利用?活用し、授業に対していかに自分が進歩?発展しているか、常に自分の成長度をチェックしてください。
 さらに、学生の皆さんに、入学時に言っておきたいことがあります。大学生活の日常生活の規則として、お互いに挨拶する習慣を身につけ、実行するということです。朝、教職員や他学生に会ったときは、大きな声で「おはようございます」と声を掛け合って下さい。すっきりした気持ちで一日の勉強が始まります。

 皆さんがこれから福岡女子大学で受ける教育は、受け身でかつ他人から強制される勉強であってはなりません。大学教育には、新しい知識の蓄積、新事実の発見、さらに自分の考えを展開できるという期待と感動がありますが、自ら積極的に実行するもので、決して易しく、楽しいことばかりではありません。学問、研究は、専門的で深く追求すればする程、苦しさが増してきます。
 何事にも抵抗なく飛び込んでいき、失敗が許されるのは若い時しかありません。新入生の皆さんは、若者の特権を持てる日々があっという間に過ぎることを自覚して、一日一日を有効に、学生生活が実り多く、有意義となるよう心掛けて下さい。伝統のある福岡女子大学の学生という誇りを持ち、何事にも自分の意見を持ち、積極的、建設的な行動の取れる国際的感性を備えた、成熟した社会人に成長することを願って、入学式の式辞と致します。

「大学で何を学ぶ」                               

 平成二十七年四月四日
公立大学法人福岡女子大学
理事長?学長 梶山千里